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ヨロズな感想絵日記

あれやこれやの感想を興奮気味にお伝えしたい。

『十二人の怒れる男』感想 ※ネタバレ有

映画

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 目次

作品データ

十二人の怒れる男

・監督 シドニー・ルメット

・脚本 レジナルド・ローズ

・製作 レジナルド・ローズ

    ヘンリー・フォンダ

・音楽 ケニヨン・ホプキンス

・撮影 ボリス・カウスマン

・出演 ヘンリー・フォンダ  ジョセフ・スィーニー

あらすじ

父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、陪審員が評決に達するまで一室で議論する様子を描く。

法廷に提出された証拠や証言は被告人である少年に圧倒的に不利なものであり、陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。

陪審員一致で有罪になると思われたところ、ただ一人、陪審員8番だけが少年の無罪を主張する。

彼は他の陪審員たちに、固定観念に囚われずに証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証することを要求する。

陪審員8番の熱意と理路整然とした推理によって、当初は少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心にも徐々にある変化が訪れる。(ウィキペディア抜粋)


12 Angry Men 1957 trailer

 感想

皆さんは知らず知らずのうちに差別や思い込み、偏見を持ったことってありませんか?

 

「B型の人はわがまま」

「子供は子供らしく」

「ゆとりは使えない」

 

 日本で裁判員制度が始まって7年が経ちますが、人間が人間を公平に判断することが本当にできるものなのか。

その難しさ、危うさを描いたのがこの「12人の怒れる男」です。

 

以下、読んでの感想ですがネタバレ注意。

日本映画界はここをめざせ!

この「12人の怒れる男」は、製作費約35万ドルという低予算で、かつ撮影日数2週間という短期間で制作された作品です。

96分の上映時間中ほとんどのシーンが同じ部屋の中で繰り広げられます。

こういう法廷ものの場合、犯行時の回想シーンとか、事件現場の映像とか入りそうなものなんですけどそういうのも一切なし。

 

扇風機が壊れた真夏の狭い部屋、肘と肘がぶつかりそうな狭いテーブルで12人の俳優達が見せる熱演のみで構成された舞台劇に近いスタイル。

低予算だからこの脚本になったのか、それとも逆なのかはわかりませんが、96分間を全く飽きさせない展開に脚本家の才能が光る作品と言えます。

 

邦画だと「キサラギ」が同じ感じかなと思うんですが、こういう脚本で勝負!っていう作品を日本映画界はもっと作るべき。

せっかく演技力のある素晴らしい俳優さんたちが、日本にはたくさんいるんですから。

偏見が真実を曇らせる

 少年の有罪、無罪を決めるために集まった陪審員12名。

罪名は第一級殺人。

有罪になれば少年は電気椅子に送られることになる。

 

 慎重に議論されるべき評決。

ですが陪審員達の中にあるのは「スラム街の不良は人を殺して当然」という決めつけ。

「有罪に決まってるんだからさっさと終わらせて帰ろうぜ」という場の雰囲気の中で、陪審員8番だけが少年の無実を主張します。

「人の生死を5分で決めて間違っていたら?1時間話そう」

 

実はこの裁判、証言と証拠を慎重に照らし合わせてみると、不自然な点が次々と浮かび上がってくる不確かなものだったのです。

思い込みを捨て、真実だけを見ようとした陪審員8番だけがそこに気づいた。

 

これこそが監督が提示したかった陪審員制度に対する問題点でしょう。

 人が人を裁けるのか

偏見による思考停止が真実を覆い隠してしまうという事実。

その思考停止で無実の人間が死刑になり得るという事実。

そんな中で罪が決められるということの危うさ。

 

だけどこの映画はその解決策も同時に提示します。

それは先入観を差し引き、そこに現れた真実だけをみつめるということ。

そして審議の中から真実は洗い出さすということ。

 

「不良だろうと事実だけが問題」という作中の言葉。

陪審員同士が疑問点に意見しあう中で事実が明白になっていく様子。

 

シドニー・ルメット監督が伝えたかったのは人間の理性への期待、民主主義への賛美だったのではないでしょうか。

 

私なんかだと「裁判員の人達もああやって適当に決めようとするんじゃないのか」と思っちゃうんですが、人間が人間を信用できなくなったら何も成立しなくなっちゃうんですもんね。

そうじゃなくて自分が裁判員になったとき、先入感を捨てて慎重に取り組むということをしなくちゃならんのですよね。

 

 

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